Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 1

Tomix製 Cタイプディーゼル機関車の歴史

CタイプDLの “いろいろあってな…” をご紹介

コレクターの端くれ?にとっては、過去の歴史や経緯を遡って「あーでもない、こーでもない」と思索を巡らせるのも楽しみ方のひとつ。以前のレストアをきっかけに過去のカタログを眺めていたところ、製品ラインナップまわりで思っていた以上に変遷があったことがわかりましたのでご紹介させて頂きます。

殆ど勢いで書いたのですが、今回の記事は珍しく長めです (笑) 。


1987年版 : 登場 (?)

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 2

私の手持ちの古いカタログの中で、最も古い掲載は1987年です。これ以前の号では1985, 1986年版を “歯抜け” にしてしまっているので、中古本を入手するような機会があれば確認してみたいと思います。少なくとも1984年版には掲載がありません。

現在まで続くTomixカタログの “伝統的な特徴” として、「電気機関車」や「新幹線」など、実車の主な仕様別にカテゴライズされていることが挙げられますが、このCタイプディーゼル機関車は「フリースタイル」というカテゴリーが冠されておりまして ( “Cタイプ” というワードも未だこの時点では出てこない) 、さらに掲載順序の方は電気機関車よりも先にページが割かれているのが特徴でしょうか。

単純に “誌面割りの都合” ということも考えられますが、ドールハウス向けと思しき家具ミニチュアとの “絡み写真” で飾られているあたり、「Nゲージ鉄道模型」そのものへの入門者を意識しているのかもしれません。

主なカテゴリーの掲載順も、

  1. 電機
  2. DL
  3. 試験車 (クモヤ193)
  4. 電車
  5. DC
  6. PC
  7. 私鉄
  8. レールバス (!)
  9. 貨車
  10. 新幹線

…となっておりまして、カテゴリーの中でも特急や通勤形・近郊形といった分類の序列が一定ではない辺りなど、現在のものと見比べるとなかなか興味深いです。
この後、2000年版まで “オレンジ”・”イエロー”・”ブルー” の3色体制が続きます。


2001年版 : 6色体制化・ベーシックセット進出

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 3

彼らに最初の転機が訪れたのは人々の “ミレニアム騒ぎ” も落ち着いた (?) 2001年版。これまでの3色体制から倍増の6色体制となり、新たに “緑”・”白”・”茶” の3色がラインナップに加わりました。
(なぜ “グリーン”・”ホワイト”・”ブラウン” じゃダメだったのかは私の想像できる範疇を越えています。人の名前っぽいからでしょうか…?)

そして特筆すべきはベーシックセットへの華々しい (?) 進出で、”きかんしゃトーマス” シリーズを除いては唯一となる (実在する種車も存在しない) 完全フリーランス車両のセット製品化 (かもしれません) 。その上どこかで見覚えのあるような “Tomixロゴ” 入りコンテナを積んだコム1形貨車に、専用カラーの「ゼブラ塗装」となった黄色のCタイプがセットされるという力の入れようです。何らかの戦略に基づいて企画され、標準品とバリエーション展開分まとめて一気に生産されたようにも思われますね。

  • [新規] <90131> ベーシックセット SD貨物 (ゼブライエロー)

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 4

余談ながら、既存の “オレンジ” とオーバルループのレールをセットにした入門製品もこれまでに存在していた (ネットオークションへの出品) ことを確認しているのですが、手持ちのカタログには掲載がなかったため、’85年ないし’86年版の時期にラインナップされていたものと思われます。こちらの調査も (個人的な) 今後の課題です…。


2002年版 : ベーシックセット見直し

2001年版で晴れてベーシックセット化されたCタイプも、新型コントローラーの登場に伴う製品ラインナップの更新に伴って、わずか1年で見直しが入ります。

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 5

独特のゼブラ塗装がコアなファン心理をくすぐりそうですが、ビギナーの心を掴まなければならないというセットの使命にマッチしなかったのか、これにて幻の存在となってしまいました。

しかしながら不幸中の幸いで、ベーシックセットの舞台から降ろされてしまうことは間一髪で踏ん張ったようです。”代打” で登場したのは標準ラインナップの純粋なカラーバリエーションとも言うべき「エメラルドグリーン」で、どこか彩度の高い色彩設定は子供受けを狙っているようにも思われます……考え過ぎ?

へそ曲がりな?オトナ視点としては、もうユーザーが分かり易い色合いを使い果たしたので中途半端な色になったように受け取れなくもないのですが…。

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 6

標準ラインナップのページでも、「こんなお得なセットもアルヨ〜!!」と必死のアピール。

  • [新規] <90134> ベーシックセット SD貨物II (エメラルドグリーン)
  • [中止] <90131> ベーシックセット SD貨物 (ゼブライエロー)

2003年版 : ベーシックセット廃止

カラーリングデザインの変更はあったもののベーシックセットとしては存続していたCタイプですが、またまた僅か1年で生産中止扱いに…。

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 7

A「新型コントローラーがリリースされたからどさくさに紛れてCタイプに見直しかけたけどさぁ、やっぱり中止なっちゃったね…。」
B「そりゃそうだろ〜、さすがに老若男女にウケがいい500系と並べられたら、明らかに数字が悪いのはバレバレだったもん。」
A・B「アッハッハッハ」

…という “中の人” の会話が聞こえてきそうなそうでもないような。完全に私個人の想像ですので悪しからず (笑) 。

より現実的な視点で俯瞰しますに、2003年版のタイミングでは更新版のレール規格「ファイントラック」がリリースされているため、これに併せた商品構成の変更とラインナップの再見直しが関係していると思われます。

  • [中止] <90134> ベーシックセット SD貨物II (エメラルドグリーン)

2004-2005年版 : ベーシックセット復活

ここへきてまさかのベーシックセット復活…何故か新色で!! (コレクター涙目)

Tomix Cタイプディーゼル機関車の歴史 8

ほぼ “外部要因” とはいえ2年連続での引退劇は完全な降板かと思われましたが、ここへきてCタイプ最後の悪足掻き (苦笑) …DE10形 JR貨物更新車 “風” の塗装を纏って、ビギナー向け巻頭ページに舞い戻ります。…この “焼き直し” 感のハンパ無さね…ファンだったら買うよ…今店頭在庫あったら欲しいもん、存在感的に (笑) 。
それでもねぇ〜 “無い” 今だからこそ、なわけで。やっぱり売れなかったんだろうねぇ〜…。
もちろん、標準のラインナップ6色はどこ吹く風で、ここまで何の変化もございません。いや増産してたかどうかも怪しいけど。

何気に品番の近い “短編成+コントローラー+オーバルループ” という同一フォーマットの商品自体も大凡3年連続で車両選定が変わっていることになりますので、ビギナー戦略の迷走試行錯誤具合が窺い知れます。現在の3両ブリスターパックが登場し始めるのも2000年版以降の話ですので、結果論からすれば “「初めての車両」の趣味思考をメーカー側が主導するのは合理的ではない” 、ということなのかもしれません。

  • [新規] <90135> ベーシックセット SD貨物列車 (JRF更新色風)

2006年版 : ベーシックセット廃止

ここまで度重なるコントローラーやレールといった、主にシステム側の変更の波に飲まれながら (?) も頑張ってきた “色モノ” 的なCタイプですが、やはり本当にほんっと〜に売れなかったのか?ビギナー戦略の役目をバリエーション拡充が整ってきた3両セット & レールセット群に譲り、遂には巻頭ページから姿を消してしまいます。

昨今のTomixが世に送り出すモデルの数々は、世の嗜好に応えるべく「特定車番・編成」「リアリティ・細密化」指向の強く、また優れたものとなっていますが、実車が存在しないタイプモデルでありながらも、その素朴なディテールを眺めていると “古き良き、憧れたTomix” を思い出させてくれるような気がします。

私におきましては、これからもこのモデルたちと共にNゲージ鉄道模型の歴史を後世に伝えつつ (大袈裟) 、未入手のモデル追跡を続けていきたいと思います。まる。

皆様の身近なところで下記製品の在庫をお見かけの際はご一報頂けますと幸いです (ぇ)

  • <90131> ベーシックセット SD貨物
  • <90134> ベーシックセット SD貨物II
  • <90135> ベーシックセット SD貨物列車

長文・乱文最後までご覧下さりありがとうございますm(_ _)m

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